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下水処理水の大腸菌数基準に関する疑問
2023/10/21 04:21
- 下水処理水の放流に関する衛生面での基準の一つとして、大腸菌群に属する細菌数が3000個以下であることが求められています。
- 大腸菌は環境中で他の微生物との生存競争に負けやすく、絶滅しやすい細菌です。一方、大腸菌以外の微生物は病原性を持つものも存在しています。
- 大腸菌数を指標とする理由は、大腸菌が他の病原性微生物の指標として適当であり、基準値以下であれば衛生上の問題はないと考えられているからです。しかし、それだけでは不十分で、放流水の中に病原体が含まれていないことが保障される必要があります。
下水処理水の大腸菌数基準に関する下記の疑問
2023/01/22 17:49
前回回答が付かなかったのでカテゴリーを変えて再投稿致します。
下水処理水の放流に関する衛生面での基準の一つとして、「放流水1立方センチメートルあたりに含まれる大腸菌群に属する細菌数が3000個以下」というものがあります。
そして、将来的にはこの基準における「大腸菌群数3000個以下」の部分を「『大腸菌“群”数3000個』に相当する大腸菌数以下」に変更すべきではないかとする動きもあるそうです。
何故このような基準が設けられているのかについて疑問があるのでここに質問させて頂きます。
自分なりに調べてみましたところ、地方共同法人日本下水道事業団技術開発部が配信しているメールマガジン「いまさら訊けない下水道講座 4」( 2005年9月5日配信 №44号)
【参考URL】 https://www.jswa.go.jp/g/g5/g5m/im/pdf/i4.pdf
において 「『ある環境中の大腸菌群数が人間への危険性が無視できる程度であれば、その他の病原性微生物による危険性もそれ以下』であると考えられることから、それら病原性微生物の指標として適当だからです。」 という記述を見つけました。
しかし、大腸菌は大腸内の環境に特化して適応した細菌であるため人体外の自然環境中では他の微生物との生存競争に負けてしまうので、体外環境中では絶滅してしまう種が殆どです。
その事は、先述の「いまさら訊けない下水道講座 4」においても「その高い栄養要求性等から通常糞便が存在する環境でなければ増殖できません」と記されています。(生物は自然死や事故、他の生物からの攻撃等々によって死ぬ個体の累積数が時間の経過と共に増え続けますから増殖出来なければ絶滅するだけです)
要するに体外環境中において大腸菌は他の多くの微生物と比べ非常に絶滅しやすい訳です。
一方、大腸菌以外の微生物は大腸菌よりも体外環境に適応したものが大部分であり、それらの中には(ウェルシュ菌やセレウス菌などのように)病原性があるものもある程度の割合で存在していますから、例え大腸菌数が0であった場合であっても糞便由来の大腸菌以外の病原性細菌や細菌以外の病原体が生き残っているおそれは十分考えられるのではないかと思います。
大腸菌専用の培地で培養を試みた際に大腸菌のコロニーが生じなかったからと言って、ノロウイルスのようなウイルスや有鉤条虫卵のような寄生虫の類が存在していないとは言えないはずです。
つまり「大腸菌の検出数が基準値以上」である事は「滅菌が明らかに不十分」である事の証にはなりますが、だからと言ってそれは「大腸菌の検出数が基準値未満」である事が「滅菌が十分」である事の証になる事を意味するものではないわけです。
下水処理後の水が放流しても安全である事を保障するためには、「『滅菌が不十分である』と確実に分かっているわけではない」(単に証拠が見つかっていないだけで「不十分」である可能性も否定出来ない)というだけでは不十分で、「滅菌が十分である事」即ち「放流水の中に病原体が含まれている事による危険が十分低い事」が保障されていなければならない筈です。
それにもかかわらず「『ある環境中の大腸菌群数が人間への危険性が無視できる程度であれば、その他の病原性微生物による危険性もそれ以下』であると考えられる」とされ、それを根拠に大腸菌が「それら病原性微生物の指標として適当」で、下水処理場の放流水中の大腸菌密度が基準値以下であれば衛生上問題が無いとされているのは何故なのでしょうか?
尚、私が知りたい事はあくまで「規則の一つとして大腸菌(群)数を指標に用いる事にした理由・根拠」ですので、「規則でそう決められているから」といった類の回答は御遠慮願います。
回答 (2件中 1~2件目)
行政の対応は「問題が起こったらその問題に対処する」のが基本です。
O157をはじめとする大腸菌が度々問題になったから大腸菌を指標にした。
それで今まで大きな問題が発生してないので変更してないってだけです。
今後、新たな問題が発生すればそれに対応することでしょう。
結果的にそうなってるだけですので根拠などありません。
後付でもっともらしく説明しているだけです。
臭い物に蓋をするだけの行為かも知れませんが、自然界に病原性のあるものは無限に近く存在しているので全てに対応することは不可能です。
ある意味では理にかなった対処です。
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既にご覧になっている情報かもしれません。また、貴殿の論点に対応していないかもしれませんが、「その他の病原性微生物」と「大腸菌群数」との相関に関する情報は、次のような情報を参考になさったら如何でしょうか。
https://www.env.go.jp/council/09water/y0916-9/mat02.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/02/s0203-3a.html
お礼
2023/01/23 09:04
御回答頂き有難う御座います。
御教え頂いたURLのページを拝見させて頂いきましたところ、同ページに記されていた内容は下水処理水の基準ではなく上水道の原水や河川、湖沼の水質基準についての話でした。
とは言え、下水処理水の基準値を決める際に、河川や湖沼の水質基準が根拠の基として使われた可能性ももしかしますとあるかも知れません。
ただ、記されている内容によりますと、河川や湖沼の水質基準の1つに大腸菌数が用いられている理由は、河川や湖沼の水が糞便で汚染されていない事、即ち、水に糞便が混入していない事を確認するため「大腸菌数が基準値未満である事」をマーカーとして使用するのが適当とされたからのようです。
一方、水洗トイレの普及により糞便が混入している確率が100%である下水に対して、処理を行って大腸菌数が0になったところで、それは「糞便の混入が無くなりました」とは言い難いのではないかと思われますので、「河川や湖沼の水質基準として使われている事」を、下水処理水の水質基準に大腸菌数を用いる事の根拠とする訳にはいかないのではないかと思います。
加えて、御教え頂いたURLのページにおいて上水道原水や河川、湖沼の糞便汚染の指標として大腸菌数が用いられている理由は、糞便中に存在している細菌の中で大腸菌の割合が圧倒的に多い事と温血動物の腸管以外には生息していない事の2点から「大腸菌が検出される事は糞便で汚染されている証拠になる」という考えからのようです。
しかしながら、「糞便汚染による危険が存在している証拠が無い事」が必ずしも「糞便汚染による危険が無い事の証拠」にはなりません。
何故なら、質問文でも述べましたように大腸菌は体外の自然環境中では生き延びられないのに対し、糞便由来の病原体の中には体外の自然環境でも増殖・生存可能なものも存在していますから、例え大腸菌の全てが死滅した後でも感染可能な状態で生き残っている病原体が存在しているおそれは十分にあり得るからです。
しかし、そのような危険の有無に対してどのような検討を行ったのかという事に関しては、御教え頂いたURLのページには何も記述が無いようです。
そのような次第で御教え頂いたURLのページでは残念ながら本質問に対する答えは得られませんでした。
補足
2023/01/23 17:42
デタラメな事を書いて来ないで下さい。
O-157は病原菌としては新顔で、初めて発見されたのはアメリカ合衆国のオレゴン州でハンバーガーを食べて食中毒症状が現れた人の血便からであり、それは1982年というほんの40年前の事に過ぎません。
それに対し、「放流水1立方センチメートルあたりに含まれる大腸菌群に属する細菌数が3000個以下」という基準は昭和34年(1959年)に交付された水道法施行令で既に定められていたものです。
更に言えば、赤痢菌やチフス菌などのようにそれ以前から問題となっていた食中毒原因菌は幾らでもあります。
従って、
>O157をはじめとする大腸菌が度々問題になったから大腸菌を指標にした。
などという事はあり得ません。