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2008/12/17 00:05
素人な質問でなんですが、オーステナイト系ステンレス鋼の問題点として必ず鋭敏化の話が出てきます。
600度くらいで徐冷した際に粒界近傍のCrが炭化物となり、粒界付近のCr濃度が下がって腐食してしまうとの話ですが、
その理屈でしたらマルテンサイト系やフェライト系でも(たとえ温度は違えど)Cr欠乏層ができる鋭敏化は起こると思うのですが
ステンレスや熱処理の本を見てもオーステナイト系の話しか出てきません。
マルテンサイト系やフェライト系では鋭敏化のような現象(Cr炭化物生成→粒界付近のCr欠乏層生成→腐食)は
起こるのでしょうか?
「マルテンサイト系でも炭化物析出の脆化があるとのことですが、鋭敏化は起こらないということでしょうか・・・??」
マルテンサイト系ステンレス鋼で焼き戻しの冷却速度が遅い場合、脆化の発生と耐食性が低下しますが、
耐食性の低下は、鋭敏化ではないと理解していました。
しかし、ご質問に対して、
マルテンサイト系ステンレス鋼の鋭敏化について述べられているものが少ない中、
「ターボ機械(ターボ機械協会編:日本工業出版)」132頁には、
「13Crマルテンサイト系ステンレス鋼は熱処理条件の設定を誤ると・・・
材料が鋭敏化(結晶粒界にCr炭化物が形成し、近傍のCrが欠乏し・・」と
記載されているものがありました。
わざわざ調べていただきありがとうございます。
つまりはマルテンサイト系においても、オーステナイト系に比べて
条件や成りやすさの違いはあれどCr炭化物の析出→Cr欠乏層の生成→鋭敏化の
現象は起こるということのようですね。
あまり語られていないのはあまり通常問題となることがないからなのでしょうが
理屈の上ではありうるようなのですっきりしました。
2008/12/27 15:35
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鋭敏化による粒界腐食は、フェライト系ステンレス鋼でも発生する
ことが知られています。
オーステナイト系ステンレス鋼とは逆で、860℃以上の高温から
急冷した場合に鋭敏化が発生します。溶接した場合のビード部や、
焼きなまし温度を上げ過ぎて、空冷で冷却速度が速くなった場合、
鋭敏化が懸念され、溶接後の酸洗いで粒界腐食を発生することが
あります。
また、鋭敏化ではないですが、マルテンサイト系ステンレス鋼では、
550~600℃で、炭化物などの粒界析出によって、脆性が現れます。
回答ありがとうございます。
確かにフェライトにもオーステナイトとは温度や冷却時間が異なる鋭敏化があるようですね。
またマルテンサイト系でも炭化物析出の脆化があるとのことですが、鋭敏化は起こらないということでしょうか・・・
組織が違うからと言ってしまえばそれまでですが、原理的な部分をもう少し探してみたいと思います。
2008/12/19 22:23
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