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2008/04/24 17:14
鉄鋼メーカーの磁気特性カーブはロットとしての最低保障値なのでしょうか?それとも、代表値でいくらかの裕度を含むものなのでしょうか?
測定方法、測定試料片、密度はグラフに明記してあります。(勿論、これを裁断して変圧器等に使用する場合の鉄損や励磁電流値については、設計に際し鉄心の積み方等それぞれについて掛け率を設けています。ただ、ぎりぎりの数値で設計する場合、上記のカーブから読み取る(当然、読み取り誤差は別問題です)場合には、いかなる性質の値かを知っておかなければなりませんので、このような質問をさせて頂きました。(裕度の少ない変圧器設計は初めてであり、変圧器設計経験も基礎的なものしか行っていません。)
ご紹介する必要はないと思いますが,磁気特性のカタログデータを貼っておきます。
2ページをみると,「各種特性曲線の代表特性を示す」と大きく書いてあります。特性曲線から読みとる値は,代表値であって保証値ではないことがわかります。
また,打ち抜き加工などで磁気特性が悪化することを明言しており,磁気特性回復のための焼鈍処理はユーザー側の責任になっているようです。
鉄鋼メーカーあるいは1次代理店からの直接購入なのか,打ち抜き加工を行うコア加工メーカーからの購入になるかなど流通ルート次第で事情は変わるかと思いますが,取引先と交渉なさって「保証値」を引き出すことが必要ではないでしょうか。
カタログ掲載の特性は,エプスタイン試験によるものです。試験条件については,以下のURLからJIS C 2550を参照してください。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html
専門書1冊を理解すれば十分かと問われると,考え込んでしまいます。私自身,ケイ素鋼板を積層したトランスの原理は理解しているつもりですが,製品設計に携わったことはありません。この程度の経験の中で,設計実務の一端を学んだ専門書は,電気学会編の「電気機器設計」という本です。
ご質問の中でも触れていらっしゃいますが,磁気特性のカタログデータから計算した値と,実際の製品の特性の違いを経験的な係数で補正されているようですが,この値が御社の財産と思います。素材としての磁気特性と,製品としての電気特性の関係をどこまで分析的に把握しているかが,ご質問者の技術力と思います。
理解を深め,技術力をアップするには,素材としての磁気特性と,製品としての電気特性の関係のデータを収集して分析していくことが宜しいのではないでしょうか。トランスとして,鉄心材料の特性が直接表れるのは「無負荷特性」ですが,定格周波数・定格電圧だけではデータ不足なので,励磁電圧,周波数を広範囲にわたって変化させてデータ収集し,磁気特性との関係を検証することが有効と思います。電圧・電流・電力といった数値データだけでなく,励磁電流波形も有効な情報です。望ましくは,メーカーが発表しているような磁気特性をご自身で計測できるようにしたら宜しいかと思います。分析を進めて行くには,更に条件を変えて実験したほうが直接的に答えが得られることもあろうかと思います。
積層鉄心を使った製品の技術者は人口が減っているように感じています。産業界の技術を継承していくためにもご健闘を期待します。
ありがとうございます。ただ、私どもが持っていますカタログには参考値とかそういった注釈はありませんでした。しかし、設計計算に際しては、可能な限り裕度を持たせてスペックを超過しないように致します。また、このようなことを勉強するには、会社に「磁性体の物理」という本がありましたが、この種の書籍をベースに、お示しいただいたJISで実際の磁性体の試験を理解すれば、メーカーカタログを参照した時にグラフの理解ができると考えてよいでしょうか。それとも、物理と製品カタログとは少しニュアンスが違うものなのでしょうか。質問を書きつつ、やはり本質が理解ができていないような気持ちになってきましたが・・・。アドバイスをお願いします。
ご親切な回答と激励ありがとうございます。私の隣席には実験計画法に詳しい者がいますので、御教えいただいた種々の実験条件で特性試験を行うように提案いたします。また、電磁鋼板の物性につきましても平行して勉強してゆきたいと思います。
2008/04/25 09:09
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