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-100℃のベアリング、低温での脆性の影響は考えなくてもよい?
2023/10/18 21:22
- SUS440Cを使用した低温対応のベアリングを製作する事例がある。
- 低温で脆性が発生する可能性があるが、ベアリングでは考えなくてもよい。
- 要約文3つ目
-100℃のベアリング
2012/11/05 19:30
SUS440C使用で低温対応のベアリングを製作している事例がみられますが、低温での脆性の影響はベアリングでは考えなくてもよいということなのでしょうか?
回答 (2件中 1~2件目)
一度、低温脆性の内容を確認し、SUS440Cの低温脆性特性を調査してみてください。
簡単には、
一般に炭素鋼をはじめとして多くの鉄鋼材料は、低温になるほど引張強さ
降伏応力は増大する性質があります。反対に、伸び、絞り、衝撃値が低下し
ある温度以下になると、これらは急激に低下して脆性変形を起こす性質が失
われて脆くなります。このような性質を低温脆性といいます。急激に脆性を
増すような温度を遷移温度といいます。
低温で急激に脆性を起こす性質は、金属によって異なります。銅および銅合
金、ニッケルおよびニッケル合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、
鉛、オーステナイト組織のステンレス鋼などにはこの性質はありませんが、
炭素鋼、亜鉛、錫、マグネシウムなどにはこの性質があります。
一般的に低温脆性は、材料の伸び、絞り、衝撃値などから判断され、特に重
要なのは衝撃値です。低温脆性は、材料の熱処理が非常に影響し、熱処理し
ないものより熱処理したものの方が靭性に富みます。
とされますので、
SUS440Cでの低温対応設定荷重は、衝撃力も含めて、低温脆性で低下した弾性の範囲内に
設定する必要があるとなります。
<低温脆性で低下した弾性域の確認は、大変でしょうが、…>
まあ、“低温脆性は、材料の熱処理が非常に影響し、熱処理しないものより熱処理したもの
の方が靭性に富みます”の内容もあるので、熱処理が実質的にできないオーステナイト組織の
ステンレス鋼よりは、使用温度で特性が良い場合もあるや、摩耗の面でアドバンテージがある、
加工硬化させるオーステナイト系ステンレス鋼より加工し易い、等々でSUS440C製のベアリング
もあるのでしょう。
低温脆性は、セラミック製のベアリングのように、靭性がなく脆くなります。
でも、セラミック製ベアリングも、使用条件を満足すれば使用できると同じように、SUS440C製
ベアリングも-100℃の使用条件で使用すれば使用可能です。
最後に、前質問は早目に評価して、締め切りましょう。
http://www.klchem.co.jp/blog/2011/04/post_1458.php
( ↑ 金属の低温脆性 )
SUS440C使用で低温対応のベアリングを製作している事例がみられるのであれば、
低温対応の定格荷重や、使用上の注意等の資料を保有している場合もあります。
確認してみてください。
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解決しない場合、新しい質問の投稿をおすすめします。
SUSは0~-100℃程度では低音脆性は起こらないと言う報告もありますが、使用
条件によっては起こると考えたほうが良いと思います。フェライトやマルテン
サイト系SUSは要注意、オーステナイト系SUSは比較的安全と思われます。
オーステナイト系でも水素脆性や応力腐食割れなどの可能性はあり、温度サイ
クルなどには要注意です。
http://www.corrosion-center.jp/pdf/K004.pdf#search='SUS+%E4%BD%8E%E6%B8%A9%E8%84%86%E6%80%A7'
メーカーカタログでは-200℃位まで使えるとなっていますが、適用環境には
注意する必要があると思います。
http://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/rolling/pdf/bearing_c016_021.pdf
http://www.fkd-e-bearing.com/fag.html
http://eb-cat.ds-navi.co.jp/jpn/jtekt/tech/ej/img/no1004/1004_11.pdf
メーカー資料の追加です。
http://eb-cat.ds-navi.co.jp/jpn/jtekt/tech/eb/catalog/img/pdf/catb2001_c.pdf
補足
2012/11/06 12:35
解答ありがとうございます。説明不足でした。ただベアリングとのみ表記してしまいましたが、ボールベアリングを検討しています。オーステナイト系SUSは当然検討しているのですが、表面硬度が低いため、ボールベアリングの材料として使用すると耐荷重が1/30以下、1/100近くまで減少してしまいます。