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QPQ処理品の環境変化について
2023/10/13 15:40
- QPQ処理をしたもので、高温高湿状態の試験をしたのですが、見た目がひどく赤茶けた感じに変色してしまいました。
- 高温とは言っても、100℃以下なので、QPQ前のタフトライドの約600℃よりもだいぶ低い温度だと思うのですが、何が原因で発生しているのかわかりません。
- 試験前の状態でも、あまり表面がよくなく、美観もいいとは言えません。工程的に、どこが問題があると発生してしまうのでしょうか?
QPQ処理品の環境変化について
2004/11/03 17:53
QPQ処理をしたもので、高温高湿状態の試験をしたのですが、見た目がひどく赤茶けた感じに変色してしまいました。高温とは言っても、100℃以下なので、QPQ前のタフトライドの約600℃よりもだいぶ低い温度だと思うのですが、何が原因で発生しているのかわかりません。試験前の状態でも、あまり表面がよくなく、美観もいいとは言えません。工程的に、どこが問題があると発生してしまうのでしょうか?
回答 (2件中 1~2件目)
1.赤錆か?
赤錆か否かはXRDによる測定が必要です。
625様の質問にある「高温多湿状態」がどの様な環境なのかが正確には分からないので、保存時間のみで赤錆発生は無いと判定する事はできません。例えば、海岸付近に実験室と保管場所がありClイオンが多いなど環境が左右します。
72時間錆の発生無しと言うのは、飽くまで吾々の実験室のものです。
日本パーカライジングが公表している数値では10年以上前のS45CのJIS塩水噴霧試験で24時間以上と言うものがあります。
2.変色は赤錆以外に考えられないか?
吾々が行った実験では赤錆以外の不具合はQPQの色むら、白色の酸化物の析出などがありました。
赤色系統では赤錆以外に経験したことはありません。
3.温度などの工程管理では?
保存・実験環境と同時に625様の着目点、これが一番大きな因子になると思います。
560℃以下の軟窒化処理がなされて耐食性が下がった可能性も否定できません。
これから記す内容は飽くまで吾々の実験内容であり考え方です。
吾々は、耐食性を向上させるために580℃以上の軟窒化処理が必要だと考えています。
軟窒化処理によりε化合物Fe23Nが析出します。しかし、Fe2Nは斜方晶でありFe3Nは稠密六方晶です。
当然、Fe3Nの方が耐食性には有利です。このFe3Nの析出温度が570℃以上です。560℃以下ではFe2Nの析出が多くなります。
残念な事に現状の軟窒化処理ではε化合物と言う事で、纏めて考えられています。日本パーカライジングの方々も殆ど気にしていないようです。
4.その他
酸化皮膜が弱かったのでは? と言う考え方もあります。何れにせよ、工程チャートの提出を求めれば追跡が可能かと思います。
この回答は自宅で打っておりますので、詳細な資料が手元にありません。大雑把な回答で申し訳なく思います。
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この質問は投稿から一年以上経過しています。
解決しない場合、新しい質問の投稿をおすすめします。
S45C程度の炭素鋼にQPQを施したと仮定して回答させて頂きます。
1.赤錆が発生?
100℃以下の使用であるならば赤錆の発生は72時間以上の猶予があるはずです。
赤錆か?と疑問をお持ちならば赤茶けた部分を粉体にしてXRD(X線回折装置)で測定すれば何が出現したかを知ることが出来ます。
もし薄膜測定用のXRDがあればバルクでの測定も可能です。
2.表面状態が悪い?
試験前の状態で表面状態が悪いと言うことは、一回目のQ処理の後のP処理で、相当粗い、ショットなどの処理をしているものと思われます。
P処理は通常バレル研磨を行います。よって、つや消しから鏡面まで任意の表面粗さに仕上ることが可能です。
質問者は表面粗さの要望を正確に熱処理屋さんに伝えては如何でしょうか?
3.それでも赤錆が出たら!
もし、表面粗さを指定してQPQを再度、施しても赤錆が発生するようであれば、雰囲気的な問題があるかも知れません。
その場合は、QPQよりも耐食性が10倍はある、新しいLi添加の塩浴軟窒化法をお薦めします。
これは、パーカー熱処理工業が開発した手法で、商品名をイソナイト-LSと言います。QPQは日本パーカライジンググループの登録商標ですから、今、お付き合いのある熱処理屋さんで処理工場を紹介してもらえる筈です。
4.その他、美的要素
質問者は美的な要素も気にしておられる様子なので、付記しておきますが、イソナイト-LS処理はQPQのような純粋の黒ではなく、紫がかった黒色となります。
お礼
2005/02/25 17:28
ご回答ありがとうございます。
指摘いただいた項目ですが、試験をおこなった時間が(変色の発見まで)72hも経過していないことから、赤錆の可能性は少ないかと思います。
また、表面は滑らかに仕上がっていましたので、表面状態がなんらかの原因になっているとも考えにくいです。
実験野郎さんの考えでは、変色の発生というのは赤錆しか考えられない、ということでしょうか?
個人的には、工程で温度管理が不十分とか温度設定に問題があるのでは?と考えていますが、その可能性はゼロなのでしょうか?