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ばらつきの足し算について - 設計初心者のための公差の計算方法
2023/10/15 02:29
- 複数の部品を組み合わせる際の公差の計算方法について質問です。
- 各部品の公差が10±1となっている場合、その組み合わせた部品の公差は30±3となるのでしょうか?
- 以前には各ばらつきの2乗を足して平方根をとる方法を教えられましたが、これは正しい方法なのでしょうか?
ばらつきの足し算について
2006/03/27 09:58
設計初心者です。
複数の部品を組み合わせてある部品を完成させます。
各部品の公差が10±1、10±1、10±1とあった場合、その組み合わせた部品の公差は30±3となるのでしょうか?
以前、各ばらつきの2乗を足してその平方根(σ=√1↑2+1↑2+1↑2)をとればσがわかると教えられたことがあります。
これで正しいのでしょうか?
回答 (8件中 1~5件目)
統計学乏しい身ですが知る限りでお答えいたします。
「各部品の公差が10±1、10±1、10±1とあった場合、その組み合わせた部品の公差は30±3となるのでしょうか?」
→正解。
部品を重ねた場合の公差計算等では、
厳しい公差にならない限りこの累積公差で設計してます。
厳しい公差の目安はJISに定められている加工公差1級とか
それ以上の厳しい公差と考えてください。
「各ばらつきの2乗を足してその平方根(σ=√1↑2+1↑2+1↑2)をとればσがわかると教えられたことがあります。」
→2乗和平方根法(SRSS法:Square Root Sum of Squares)
√σ1^2+σ2^2+σ3^3・・σn^2=σ:標準偏差を求めています。
この式でn個の標準偏差がσ'の場合、式は
σ=σ'√nとなります。
例の10±1 3個を累積した標準偏差は
σ=1*√3=1.73mmとります。
3σの意味
標準正規分布(平均0、分散1)において平均μ、標準偏差σと得られる確立は
以下のような関係があります。
μ±3σ:99.74%
この意味するところは、正規分布する母集団の場合、中央値±3σの
範囲に入る確率は99.74%であるとのことです。(添付URL引用)
今回の例では
±3σ=±3*1.73=±5.19mmの公差に入る確率が99.74%と言うことです。
よって、0.26%は±5.19mmを超える寸法が出てきてもおかしくない。
他にσと確率の関係は
1σ :68.26%(約1/3の確率)
1.645σ:90.00%(約1/10の確率)
1.96σ :95.00%(約1/20の確率)
2σ :95.4%(1/22の確率)
3σ :99.74%(約1/385の確率)
この関係をExcelで計算するには
=(1-(1-NORMSDIST(z))*2)*100となり、
zに3と入力すると99.73%と出ます。
NORMSDIST(z)=f(z)=1/√2π exp(-z^2/2)・・・Excelヘルプ参照
これで分かると思いますが、3σは正規分布の99.74%の範囲を捉えている
ものであり100%ではありません。
よって各回答者様が回答している様に取り扱いには注意が必要です。
もちろん、穴と軸のハメアイの様に正規分布でない
加工基準を採用していれば、この2乗和平方根法は適用外となります。
また、2乗和平方根法以外の集積公差の求め方が添付URLにありますので、
ご参照ください。
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回答(6)さん
「この方式が成り立つのは,誤差の平均が公差中央値に一致し,かつ誤差範囲 を±3σとする標準正規分布をしている場合に限られます.」
RSS法が±3σに限定されることはないのでは??
ばらつきの自乗をたしてその平方根を取るのは,『最小自乗法』とは呼ばず,そのまま『自乗和平方根(RSS)』といい,また『確率的』ではなく『統計的』に算出される値です.
この方式が成り立つのは,誤差の平均が公差中央値に一致し,かつ誤差範囲を±3σとする標準正規分布をしている場合に限られます.
一般的には組み合わせる因子の数が多いと統計的挙動を示すことから,因子の数がXXまでなら単純和,それを超えたらRSSという様に使い分けるのが良いと思います.XXは経験値ですので一義的なものではなく,まあ3とか5とかで運用してみて不具合があれば改めて下さい.
部品寸法が、公差の範囲でばらついている場合に最小二乗法は有効かもしれません。
ですが、実際の現場にたってみると、穴はマイナス、軸はプラスいっぱいということがままあります。
どちらも、加工していって公差内に入った時点で加工終了!とすると、そうなりますね。
加工する人に聞いてみましたが、公差にはいったところでもう一回削って、削りすぎたりしたら大変だという心理が働くそうです。
つまり、積み木の様に積み上げる場合は、累積公差で考えた方が安全ということでしょうか。
部品の取り付けられる方向がまちまちで、結果的に誤差が分散されるならば最小二乗法でもいいかもしれません。
でも、私は設計ですが、(多少現実的でない数値でも)最大の公差累積を考えて記入します。
もちろん、そういう場合は組立後仕上げ研削とか、加工者と相談しますが・・・
こんにちは。
部品がどんなものか判らないので、機械加工部品と仮定しますと・・・
ブラバムさんが設計者ということで、
設計的な視点からみると、欲しい寸法は基本的に組立後の
寸法公差ではないでしょうか。
そこで例のような組立後の必要公差が±3、単体で±1
というレベルなら皆さんが仰られているように全く問題ない
と思います。
ただ、設計していく中で組立後の必要公差を部品の集積公差で考えると
部品単体としてはありえない様な厳しい公差設定になってしまうことが
よくあります。
その際にゴリ押しで厳しい公差設定のまま図面を書くと、
必要以上の精度管理や納期、製作工数がかかり製品の「質・量・コスト」
を満足出来ません。
そこで、最小2乗法による公差管理を行うと、部品単体では現実的な公差で、
かつ完成品も”大多数”は良品が得られるという事になります。
但し注意点。
?最小2乗法による管理はあくまで確率論での品質保証になります。
「最悪の公差積み上げ」が起こる可能性がきわめて低いと
考えられるからこそ採用できるものであって、生産するラインに
それだけの工程能力があるかどうかは別途検討する必要があると
思います。
(それぞれの部品を別のメーカーで加工するのなら尚更です)
?これは私見ですが・・・所詮確率論ですので、限りなくゼロに近くても
可能性は有ります。
ですから万が一にでもNGが発生してはならない性格の
ものには集積公差でも満足できる設計をする方が良いと思います。