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熱を加えた箇所の錆が発生する理由と対策
2023/10/13 10:20
- 水産加工機械の板金物はSUSで作られていますが、熱を加えた箇所では錆が発生します。
- この錆の原因は鋭敏化現象による脱クロムであり、事後処理をしても防錆力は戻りません。
- 対策としては熱を加える温度を下げるか時間を短くすることが考えられます。
ステンレスの錆について
2003/05/16 17:11
当社で水産加工機械をつくっています。
板金物はSUSで作りますが、溶接箇所(特に厚物)やサンダーをかけた所など熱を加えた所は錆が発生します。設計の打ち合わせで「事後処理はできないか?」との話がでましたが、「出来ません」と答えてます。
(理由)
熱をかけた所の錆は鋭敏化現象による脱クロムが原因で不働態皮膜ができなくなったためであり。クロムがないのだから事後処理をしても防錆力は戻らない。手としては熱を加える温度を下げるか時間を短くするしかない。
回答したのはいいものの、根拠は独学で文献の中に鋭敏化現象というものを見つけ、これだ!と考えているためで今まで第3者に確認をとってません(^^;
私の考えで間違っていなければ「そうだよ」と、間違っていたら「違うよ、こういう理由だよ」とアドバイス下さい。大見得切った手前こっそり裏付けを取っておこうと考えています。厚かましいお願いですがご協力お願いします。
質問者が選んだベストアンサー
一般論ですが、後処理(固溶化熱処理)で耐食性を改善できると思います。
SUS304、SUS316などのオーステナイト系ステンレス合金は、溶接箇所の周辺部(熱影響部)に結晶粒界が粗大化する部分ができます。この部分は不純物を粒界に析出し、マルテンサイトに変化するなどの組成変化が現れ、この部分に錆が発生します。
真空容器などの溶接施工では、溶接後に、固溶化熱処理(1050℃の加熱後急冷)を行い、結晶粒界粗大化部分の再微少結晶化を行って、析出した不純物を結晶に再び取り込みます。この処理によって真空容器の応力腐食割れを防ぐことができるとされています。
問題は板金ものを固溶化熱処理できるかどうかということです。
真空容器などの円筒薄肉パイプに厚みのあるフランジを溶接した構造のように熱ストレスが軸対象ならば変形などの問題が生じにくいのですが、板金物で平面の大きな構造では変形するかも知れません。
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その他の回答 (2件中 1~2件目)
そうですね。不働態化できれば面白いですね。でも、僕も「できません!」と答えますよ。
オーステナイト系ステンレス鋼を500°800°に加熱すると過飽和の炭素がクロム炭化物(Cr23C6)として結晶粒界に析出し、その結果粒界付近のCr含有量が減って耐食性が低下します。ご指摘の通り、Cr含有量の減った部分が腐食されると思います。
我々にとっては、腐食そのものよりも、応力腐食割れのほうが被害甚大で、これも思うようにいかず、困っている問題です。
お礼
2003/05/17 13:15
ありがとうございます。自分の説明で問題無しと分かり安心しました。(^^)
私たちの場合主に外観を良くしたいという事から来た話ですが、kinko-zさんのように強度上の問題ですと深刻ですね。ご苦労お察しします。
自分の見つけた答えの裏付けって中小の立場だとなかなかとれなくて困っていましたが、こういう場を設けて戴いた技術の森の方とkinko-zさんに感謝感謝です。
お礼
2003/05/17 10:50
ありがとうございます。
私が上司に質問されたイメージとしては、「酸洗いの様に薬品につけ込むことで表面の不働態皮膜を再活性させる事はできないか?」との感じです。
現場で溶接やサンダがけをしたあと手軽に不働態皮膜を再活性させたいためです。
このお話ですと難しそうですね?
あと追加質問となり申し訳有りませんが、私のつたない知識では結晶粒界にクロム炭化物ができそのまわりにクロム欠乏帯が発生しそこが錆びると思っていましたが、結晶自体がマルテンサイトとなり錆びるのでしょうか?それともクロム欠乏帯の部分(粒界部分)のみがマルテンサイトになるのでしょうか?
お手数ですがよろしくお願いします。