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SUS304の伸びについて
2023/10/18 20:32
- SUS304の伸びは60%前後であると理解しているのですが、計算した伸びが80%を超えていました。
- (1)歪み速度は等速でなく手動のためかなり早い (2)塑性歪を何度も(10回程度)少しずつ伸ばしたと普段と条件が違うこともありこの2点が影響したのか悩んでいるところです。
- 理論値より伸びがこれほど上昇することはあるのでしょうか?
SUS304の伸びについて
2012/12/14 02:33
はじめまして。
早速相談させていただきます。
先日SUS304を器具を使い引っ張る機会がありました。
SUS304の伸びは60%前後であると理解しているのですが
結論を言いますと計算した伸びが80%を超えていました。
測定部分が誤っている可能性もあると考えていますが、
(1)歪み速度は等速でなく手動のためかなり早い
(2)塑性歪を何度も(10回程度)少しずつ伸ばした
と普段と条件が違うこともありこの2点が影響したのか
悩んでいるところであります。
理論値より伸びがこれほど上昇することはあるのでしょうか?
回答 (4件中 1~4件目)
他の回答者さんも記載していますが、18Cr-8Ni-Nの組成を持ち、SUS304にNを添加し、延性の低下
を抑えながら強度を高めたタイプのステンレス鋼材であるSUS304N1や、主として18Cr-8Ni-N-Nbの
成分を持ち、SUS304にNとNb(ニオブ)を添加して、延性の低下を抑えながら強度を高めたタイプ
のステンレス鋼材SUS304N2等以外は、機械的性質は伸び40%以上となっていますので、
問題はないことだと思います。
さて、
> (1)歪み速度は等速でなく手動のためかなり速い
例えば、ねじ機構を用いて、ハンドルを手動回転させているのでしょうか?
それなら、力と伸びの関係が不規則になり、(2)のような状態になるのですね。
できれば、エア源があるのなら、エアの回転アクチュエーターで確認してみてください。
回転角度360°の揺動タイプでは、ねじのピッチしか伸びないので、試験片長さは
ねじ×1/2でしか確認できませんね。
エアのモータタイプの回転アクチュエーターで、徐々に減圧弁の圧力を上げて確認し、
引張試験に近い形での確認と、比較をしてみてください。
> (2)塑性歪を何度も(10回程度)少しづつ伸ばした
素材又は材料が異なりますが、手延べそうめんの手延べに似た状態になっているのは
たしかでしょう。
エアのモータタイプの回転アクチュエーターで、徐々に減圧弁の圧力を上げて確認し、
ねじの回転角度に応じて、一旦減圧弁の圧力を下げ、また上げるを繰り返し、塑性歪を何度も
(10回程度)少しづつ伸ばした と同じようになるようにして確認して比較してみてください。
のようにしての貴殿が比較確認しての検証しかないでしょう。
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(1)歪み速度は等速でなく手動のためかなり早い
(2)塑性歪を何度も(10回程度)少しずつ伸ばした
ノーマルな試験条件を逸脱して行い、その結果だけでお悩みとはこれ如何に
(1)は<かなり早い>程度では効かなかったと思います。
(2)はだめでしょう。ヒシテリシスカーブの繰返しで原点が移動していくから。
狙って意図しての試験ならそういう結果。そうでないノーマルな試験をやって対比しないことには推論すら出来ない状態です。
滅多に使わない材質のデータを漁るのは殆ど無駄で、それより質別の影響が遥かに大きいです。
規格値では比較しづらいので実測例。
SUS304
質別 伸び(%)
2B 59
1/2H 39
3/4H 20
H 8
それでも80%は滅多に測れないはず。
形状が板なのか棒なのか、圧延が熱間なのか冷間なのか、で質別の違い。(更に厳密には方向性も)
オーステナイト系SUS304はとりわけこの影響が大きく、バネ用なら更に硬く伸びなくなる。
加工硬化現象によるもので、(2)の不手際が他の材質よりはるかに影響しやすくなります。
回答(1)さんに賛同します。
SUS304の伸びが60%前後であることは一般的と思いますが、「理論値」では
ありません。規格値は40%以上であって、80%を超えても合格の範囲です。
引張り試験をなさっているのですから、引張強さも同時に測定できている筈
です。伸び、引張強さ、硬さは相互に密接な関係があります。参考URLの
圧延加工と機械的性質の関係図を示すグラフを参考にして、伸びの値が80%
の場合の引張強さと、伸びの値が60%前後の場合の引張強さとを比較して、
その傾向を確認すれば、ある程度の納得が得られそうにも思います。
ばらつきを考慮されてますでしょうか。
JISの引張試験規格ではN=10程度の試験結果の算術平均で評価することになっていたと記憶しています。ご確認ください。
なお、ネッキング以降は荷重を支持せずくびれ点から塑性伝播して伸びているのでとても不安定な状態です。そして試験片の性状もばらつきを持つので、破断伸び(ひずみ)のばらつきは大きくなるものと思います。
また、破断伸びは材料そのものの熱処理や引張速度(ひずみ速度)にも依存するので、カタログ値そのものを再現できるとは限りません。ご参考まで。