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分子生物学の質問
2023/10/12 23:29
- 【タイトル】分子生物学の質問
- 【要約1】短鎖ペプチド同士の結合におけるN末端とC末端の位置関係の影響についてお聞きしたいです。
- 【要約2】動物細胞での分断された遺伝子と抗原の結びつきにおいて、アミノ酸置換の必要性について詳しく教えていただきたいです。
分子生物学
2020/04/30 00:59
理系ではないのですが、仕事関係で知識が必要となり質問させていただきます!
短鎖で繋がれたペプチドが、同じように短鎖で繋がれたペプチドと結合する場合、
N末端とC末端が並び合わないと結合は難しいのでしょうか?
側鎖が結合するとは考えられないのでしょうか?(無知な質問ならすみません)
また、動物細胞で分断された遺伝子が、抗原と結びついて抗体タンパクを生成する際は
アミノ酸置換が必要となるのでしょうか?
その原理がどうしても理解できず、わかる方がいれば教えていただきたいです。
回答 (5件中 1~5件目)
途中からで失礼します。
専門家の方の回答と、専門ではないけれども的外れなことをおっしゃらないsoren0120さんをやり取り、興味深く拝見いたしました。
私は理系で化学屋です。前半の部分だけ。
生物体内では基本的にアミノ酸がひとつづつ追加されてペプチドができます。”追加”と書きましたが、この追加がおっしゃるところの反応です。N末端(アミノ基)とC末端(カルボキシル基)の脱水縮合反応によるアミド結合(ペプチドの場合はペプチド結合ともいう)の生成です。
一般に化学反応を素早く進行させるためには(反応速度を高めるには)、温度を上げる、反応物の濃度を高めるという手法がとられます。温度を上げるのは反応を進めるための障壁を超えるエネルギーを熱エネルギーとして与えるため。濃度を高めるのは反応物同士の衝突頻度を高めるため。
「N末端とC末端が並び合わないと結合は難しいのでしょうか?」
はその通りです。”並びあう”=”衝突する”という意味であれば。
生体内のタンパク質合成で酵素が働くことは、soren0120さんの述べてらっしゃる通りですが、酵素の働きは化学反応の観点からいえば、先に述べました”反応を進めるための障壁”(活性化エネルギーと呼ばれます)を低下させる役割にあります。
以前、何かの書物に原始地球の海は濃厚なアミノ酸のスープだった、という記述があったこと記憶しています。当時は海水温も高く化学反応が進行しやすい環境であったと。通常、アミノ酸同士を水にとかしておいても脱水縮合反応は起きません。アミノ酸濃度が高い溶液(この場合原始海)で反応が進むといきなり長いペプチドができたりせず、まずは数2、3個のペプチドができ、ある程度数が増えれば2、3個のもの同士が脱水縮合をして4,5個つながったものができ始め・・・となることは著者の方も述べられているかと思いますがごく普通に考えてまっとうな考え方と思います。
もう一つ、側鎖が反応しないのかですが、以下私の推論です。
アスパラギン酸、グルタミン酸は側鎖にカルボキシル基を持ち、アルギニン、リシン、プロリン、トリプトファン、ヒスチジンはアミド結合を作れる窒素を含むパーツ(官能基といいます)を持っています。純粋に化学反応の観点で考えれば、間違いなく可能性のある反応はすべて起こったはずです。つまり側鎖も原始海では反応しているはずです。しかし何かの働きが加わり、将来たんぱく質になっていくぺプチド鎖は側鎖で伸長したものは淘汰され残らず、結果的に現在のような主鎖が伸びたもので生物界が出来上がっている。「この何かの働き」がご校正中の書物に書かれているのかもしれません。
もう少しだけ、補足します。
・側鎖で伸長したものがあったとしても不安定で脱水縮合と逆の加水分解が起きやすいものも容易に想定できる(化学屋として化学構造から推定できます)。
・側鎖の伸長ではないが、現存するタンパク質でもシステインを複数含むペプチド鎖ではジスルフィド結合(硫黄原子同士が結合する)を作り主鎖とは異なるアミノ酸同士の結合を作ることがある。
長くなりましたが、お仕事進めるなかで多少なりともお役に立てば。
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RNAワールド、というか、タンパク質が最初に生まれた説ですか?
査読された専門の方と私がそうそう意見が食い違うとは思えないのですが。
たぶんあなたの疑問と同じです。NとCが近くにないと反応は起こりません。
それを著者は、長い時間のなかでランダムにおこった直鎖状のものだけがうまくいくのだ。と結論つけたのでしょうね。無理がある気がします。
なぜ、生命のすべてを構成しているタンパク質、酵素が直鎖のポリペプチドが折りたたまれて作られているかといえば、DNAが鎖だからです。そこから読まれる情報も直鎖状なので、タンパク質も直鎖状になります。
もしアミノ酸が勝手につながったとするのであれば、もっと網目構造の複雑なタンパク質が存在すべきでしょう。最初にあなたが思ったことと同じです。
枝分かれの酵素があるほうがもっと多機能だったのではないかと思います。もちろんあったのかもしれませんが、それを遺伝情報として後世に伝えるすべがなかったので、そいう生き物が一瞬生まれてもすぐに消えていったでしょうね。
その著者の方が全体としてどれだけの知識とどれだけの持論をお持ちなのかわからないので、今の所批判はしません。
ただ、あなたから聞く文にはUFOはいる。なぜなら・・・というのを聞かされているように聞こえてしまい、否定ばかりしてあなたを混乱させてしまいそうですね。
補足
2020/05/01 20:26
ありがとうございます。著者の方は、何年もこの研究をされている方です。
>なぜ、生命のすべてを構成しているタンパク質、酵素が直鎖のポリペプチドが折りたたまれて作られているかといえば、DNAが鎖だからです。そこから読まれる情報も直鎖状なので、タンパク質も直鎖状になります。
とありましたが、ではその鎖であるDNAはどうやって誕生したのでしょうか?
DNAを生成するには酵素(タンパク質)が必要だと思います。
教科書通りに、「こういうものだ」と言ってしまっては科学の進歩はないという
著者の方に賛同して校正を引き受けました。でも、文章組み立ての上手な方ではないので、
表現が一方的な部分があり、あれこれ調べている次第です。
色々教えていただきありがとうございました。
>自費出版の校正の仕事をしているのですが、内容をある程度理解しないと文章の組み立てがめちゃくちゃな原稿で。。。
ご苦労さまです。
>リボソームも触媒も存在していない原始環境でのペプチド結合のようです。
参考論文で原始ペプチド同士の結合が可能との注釈があるのですが、それは英語なので
ただでさえ専門知識がないため読めません。。
現在の分子科学的には、あり得ないことなのでしょうか?
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ペプチド合成は試験管内でもできますので可能です。
ただご質問の意図と、校正されている本文の論旨がわからないので、あまりちゃんと説明できませんが。
ありえませんか? と例えば我々科学者が聞かれると、ないことが証明されていない限りありえないことはない。と答えざるを得ません。そのへんこの手の回答は難しいので、なんでもいいのでわからないところは聞いてください。
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また、下の質問ですが、
動物細胞はすべての抗原タンパク質が細胞に侵入してきても対処できるように、
抗体タンパクもあらかじめ数億用意して備えた。
しかし、それはゲノムはいっぱいになってしまうので、抗体遺伝子は一種類のみで
イントロンによって分断され、数百個の遺伝子断片が・・・・・・・・抗体タンパクが準備されるというものです。・・・・・・の部分はその詳細が説明されています。
遺伝子の再編成で生成された直後の抗体タンパクが、抗原と結合する際の過程は、現在の科学的にはどのような過程となるのでしょうか?アミノ酸置換が起こり、より結合性の高いものが選択されるという過程なのでしょうか?
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セントラルドグマとよばれる、DNA-mRNA-proteinの流れはご存知でしょうか。
もう少しでネット授業が始まりますので、私の講義をお聞きください。といいたくなりますが。
アミノ酸置換というのは、生体ではDNAの変異が入るなどがおきないと起こらない現象です。
つまり、設計図を数億、病原体の数だけ用意しておきたかったけど、それだとゲノムがいっぱいになるから、少数だけにしておいて、あとは個々の免疫細胞に覚えてもらおう。という戦略をとっています。
その際に、その細胞のDNAを組み換えすることで(recombination)DNA配列(アミノ酸配列の設計図)を並び替えたりすり替えたりすることで、ここの病原体の表面にでているタンパク質などに強固に結合できる配列に変えていきます。
ここにはトライアンドエラーがありますので、抗体価という抗体の強さは徐々に上がっていくものなのです。
https://www.obunsha.co.jp/pdf/support/9784010340004-p130_147.pdf
この辺を大変ですけど読まれると、もう少しイメージが付くかもしれませんし。
このあたりに書かれているキーワードを引かれて読んでみてわからないところはまた質問してください。
補足
2020/04/30 18:19
ありがとうございます。
セントラルドグマはまさにで、RNAワールド仮説に対抗する仮説のようです。
原始地球上で、原始アミノ酸がランダムに結合した短鎖のペプチドが、次に次に結合して
集合体を作っていくというような内容なのです、簡単な査読の意味でも、専門の先生に
お見せしたところ、短鎖のペプチドは、N末端とC末端が隣り合わないと結合しないとおっしゃり、アミノ置換は無視するのかというようなことをおっしゃるのですが、
依頼者は、原始地球環境下ではランダムに繋いでいくので、何を言っているかわからないと
いうことで。。。。
その後の遺伝子が管理するものとでのタンパク質生成に継承していく流れをくんだ上で
N末端云々とおっしゃっているのでしょうか?
DNA不在時で、N末端云々というプロセスは必要なのでしょうか?
大学、大学院で分子生物学の授業をしているものですが・・・
N末、C末の結合は
ペプチド結合のことですね。
化学合成を考えれば、無理やりこれらの末端をブロックしておいて、何かの触媒をつかって側鎖に結合させることは可能でしょう。実際にタンパク質(ポリペプチド)の一部が環状構造を形成することがありえますから。
でも、リボソームでのタンパク質合成では、ありえません。
NからCへとつないでいく仕組みができあがっており、そういう酵素反応で正確に順番につないでいくように組まれています。
あなたの発想としては、化学物質と化学物質をつなげる際に、どうしてそこでしかつながらないの?と教科書を読んで思うのでしょうけど、体の中では、そもそもちゃんとそれを作るために、多くの酵素などが組み合わさって、そうつながるように仕組みを作っている。というのが本当のところです。
そして残念ながら、
動物細胞で分断された遺伝子が、抗原と結びついて抗体タンパクを生成する際は
アミノ酸置換が必要
これはまったくなんのことを言っているのか私にはわかりませんでした。
もしかすると、抗体産生の組み換えのところを言っているのかもしれませんが、
ちょっと意訳をすると。
抗体もタンパク質です。
抗体のある部分が、抗原にものすごく強く結合するようにつくられることで、抗体は免疫として働くことができます。
つまり、コロナの抗体と、インフルエンザの抗体では、その部分のアミノ酸が違うわけです。
このアミノ酸の並び方のちがいだけで、非常に多くの外的に体は対応しています。
そしてそのアミノ酸のちがいを作るのが(アミノ酸置換はこのことかなと思って)、DNAの組み換え反応とよばれるものです。このときに確かに遺伝子は一部が分断されます・・・・表現に違和感がありますが何かの翻訳本なのかもしれないですね。
なので後ろから前にあなたの文面を理解しようとおもうと。
抗原(ウイルスとか菌とか)に強く結合するために作られる抗体は、
抗原認識部位のアミノ酸配列が、それぞれ固有のものに変化する必要がある。
そのため、その抗体を作る細胞の、その遺伝子部分は組み替えられる。
そうすることで、その細胞は、その抗原にたいする抗体を作り続けることができる。
と考えると少しは理解につながりますでしょうか。
補足
2020/04/30 12:10
つたない質問にご回答をいただきありがとうございます。
上の質問は、ペプチド結合のことです。
自費出版の校正の仕事をしているのですが、内容をある程度理解しないと文章の組み立てがめちゃくちゃな原稿で。。。
リボソームも触媒も存在していない原始環境でのペプチド結合のようです。
参考論文で原始ペプチド同士の結合が可能との注釈があるのですが、それは英語なので
ただでさえ専門知識がないため読めません。。
現在の分子科学的には、あり得ないことなのでしょうか?
また、下の質問ですが、
動物細胞はすべての抗原タンパク質が細胞に侵入してきても対処できるように、
抗体タンパクもあらかじめ数億用意して備えた。
しかし、それはゲノムはいっぱいになってしまうので、抗体遺伝子は一種類のみで
イントロンによって分断され、数百個の遺伝子断片が・・・・・・・・抗体タンパクが準備されるというものです。・・・・・・の部分はその詳細が説明されています。
遺伝子の再編成で生成された直後の抗体タンパクが、抗原と結合する際の過程は、現在の科学的にはどのような過程となるのでしょうか?アミノ酸置換が起こり、より結合性の高いものが選択されるという過程なのでしょうか?
補足
2020/05/03 22:22
わかりやすいご説明ありがとうございます。
著者の方も、原始地球環境下での、ミラーの実験などを引用し、ペプチド結合に関しても
引用論文を注釈しています。
この方の考えは、最初のタンパク質の原型となるアミノ酸の結合は、一本鎖ではなく会合で
短鎖ペプチドの複合体が生命の起源となるというものです。
まだすべてを読んでいないので、DNAの創生やその短鎖ペプチド複合体がどうやって今のDNA管理下の仕組みに移行していったかを説明しているのだと思います。
生命の起源では、RNAワールドが先行し、タンパク質の研究がDNAからの派生でしか行われなくなったことを嘆き、タンパク質の徹底的な研究を要求する意味でもこの著書が一石を投じるものになってほしいという強い希望に賛同しています。