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※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:衝撃値の扱い方)

衝撃値の扱い方

2023/10/14 13:29

このQ&Aのポイント
  • 衝撃値とは材料物性の一つであり、材料の耐衝撃性を評価する指標です。
  • 引張強さは静的な場合や非常にゆっくりとした変動荷重がかかった場合の破壊を評価しますが、衝撃値は早い動的荷重がかかった場合の破壊を評価することができます。
  • 衝撃値は材料構成原子の移動が追従できないような状態で破壊が起こるため、材料の強度や硬さとは異なる観点から評価されます。
※ 以下は、質問の原文です

衝撃値の扱い方

2005/04/16 00:31

材料物性の衝撃値の概念がよく理解できません。
この特性値は設計にどう取り入れれば良いのでしょうか?

今の自分なりのイメージとしては、
 ・あくまでも引張強さは静的、又は動的でも非常にゆっくりとした変動荷重が作用する時の破壊を評価できる。
 ・衝撃値は材料構成原子の移動が追従できないような早い動的荷重が作用する時の破壊を評価できる。

このようなものなのですが、この解釈は正しいのでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

ベストアンサー
2005/04/16 12:58
回答No.2

 引張り試験の引張り強さは設計に使うことができるでしょうが、衝撃値は設計に使うことは難しいでしょう。というよりも、鉄鋼材料のシャルピー衝撃値などは、品質管理的に使用されているだけで規格ではありません。実際、材料の規格表から設計で必要な強度の材料を選択することはできるでしょうが、衝撃値を選択することはできません。
 ある材料の強度が規格を外れていたとすれば論外ですが、衝撃値は様々な要因でバラツキます。実は、特に金属の話ですが、引張り強さは組織依存性が小さく、所定の化学成分を外さなければ、所定の強度は出るものです。鋳造品にしろ鍛造や圧延材にしろ、何らかの原因で内部組織が荒れていても、まあ引張り強さは出ますが、衝撃値は比較的敏感に反応します。
 それでは、衝撃値は何を表すかというのは、あまり意味がありません。本当に知りたいのは、何らかの原因で亀裂が存在したときに、その小さな亀裂が構造物を破壊するような大割れに進展するか、ということでしょう。その目安としては、破壊靭性値KICなどが知られています。その材料のKICを測定すれば、何mmの亀裂が存在したときに、何Paの平均応力が加わるとその亀裂が進展するかが分かります。別な言い方をすれば、何Paの平均応力が加わるか分かっていれば、何mmの亀裂まで許されるか、が分かります。例えば、造船や橋梁などの溶接部の欠陥は何mmまで、あるいは何個まで許されるか、など。もっとも、どの破壊力学パラメータを用いて評価すべきかは、どのような破壊モードで破壊が進行するかによりますが。
 これらの破壊靭性値を実測するのは非常に大変なので、品質管理的に異常がないかについては、簡易的にシャルピー衝撃試験などが行われています。まあ、おおよそ高いか低いかの目安にはなりますが、測定値の力学的意味は考えても仕方ないでしょう。この試験片を壊すのに何Jのエネルギーを使ったか、というだけです。
 それと、静的荷重か、動的荷重かを気にされているようですが、これはあまり考えない方がよいでしょう。構造物が破壊するのは、多少スピードがあるようでも、大概は静的荷重の範囲内だと思ってよいでしょう。衝撃値で評価しようとしているのも、亀裂が存在するときの破壊に対する抵抗力です。
 100km/hで走行する車と20km/hで走行する車を壁に衝突させたときの破壊形態が異なるのは、作用する荷重が異なるためであって、スピードの違いのためではありません。例えば、車のスクラップ屋にあるようなプレス機を100倍速にしたところで、車の破壊形態が変わるというわけでもありません。
 破壊靭性値KICなどの測定は、静的です。では、なぜシャルピー試験は衝撃試験なのか。まあ、やりやすいからとしか言えないでしょう。ジワッとゆっくり折るより、ハンマーでバキッと折る方が装置が簡単だし。金属にとってシャルピーくらいの速度では、ガラスを割るときような材料構成原子の移動が追従できないような早い動的荷重、とは言えません。でも、シャルピーくらいの速度であれば、引張り強さが増加して伸びが減少するくらいの速度ではあります。そういう意味では、金属の塑性変形において転位の移動速度の影響が出るくらいの早い速度と言えなくもないか。

お礼

2005/04/19 00:29

有難うございます。
非常に詳しく説明していただき大変勉強になりました。今までの自分の衝撃値の概念が全く間違っていたことが理解できました。他の皆様のご説明とも合わせてみると「衝撃値」は
 1. 破壊の抵抗を表すパラメータ
 2. 脆性材か延性材かによって塑性変形に要するエネルギーが異なるので衝撃値が変わってくる。この為、低温脆性の閾値を評価するのに使われる。
 3. 同一材料でもKやJが大きい欠陥を含むかどうかで衝撃値が変わってくる。実際にどのくらいのKやJかまでは決定できないので材料の余寿命予測には使えないが、簡易試験データとして材料の品質管理等に利用される。

であることが理解できました。
本当に有難うございました。

質問者

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その他の回答 (5件中 1~5件目)

2005/04/18 08:39
回答No.5

 炭素鋼を低温で使用する場合に,衝撃値を問題にすることがあります。炭素鋼は,低温域(-20℃程度)において,低温脆性と称した「もろさ」があります。

 そのために,低温で使用する場合,その温度における衝撃値を実測して設計許容応力として利用することがあります。

 低温域では,ステンレス鋼を使用すれば低温脆性の問題はありませんが,低コストにするために,炭素鋼を使用します。

お礼

2005/04/18 23:55

有難うございます。
低温・高温環境下で使用する機械・部品の設計では、常温では全然考慮しなくてもいいようなことまで検討しなくてはならないのですね。いろいろ勉強になりました。

質問者
2005/04/18 07:35
回答No.4

すでに複数の方が答えられているように、衝撃値は定量的な評価を行う物理パラメータというよりは、扁平試験棟と同様の実用試験的要素が多い試験です。
この試験方法の最も代表的であるシャルピー衝撃試験も、実際に活用されているのは、衝撃値そのものよりは、遷移温度の方が重要である場合が多く、さらに遷移温度も衝撃値よりも延性破面率で求める場合が多いようです。

お礼

2005/04/18 23:47

有難うございます。
なるほど。衝撃値は低温脆性の閾値を評価するのに便利なパラメータなのですね。ようやく理解できたような気がします。

質問者
2005/04/17 08:59
回答No.3

実際のシェルピー衝撃試験片を見ると分かりますが、ヘシ曲がって割れが進展している状況が観察されます。ねばい材料は破断部の変形が大きく、脆い材料は変形が小さくなっています。
シャルピー衝撃試験で、破断で吸収されるエネルギーとして表されるのは、割れが進展するまでの応力で破断域の周囲が塑性変形するために使用される部分と割れが進展することに消費される部分の合計と見ることが出来ると思います。割れが進展することで消費される部分は、これは破壊靭性値にも通じる部分ですが、シャルピー衝撃値は、破断域の周囲が塑性変形するために使用される部分を含んだものであるために、設計として取り入れるのが難しくなっています。だからシャルピー衝撃値は、高いほうがねばいという相対的な目安としてのみしか設計では扱えないと思います。

お礼

2005/04/19 00:06

有難うございます。
破面とその解釈について説明頂き、衝撃値を感覚的に理解することができました。大変助かりました。

質問者
2005/04/16 01:28
回答No.1

イメージ的にはそのようになるのだと思います。

○衝撃値とは、破壊に対する抵抗力を数値化したものです。
シャルピーの衝撃試験を調べてみるといいと思います。

衝撃値から靭性値を算出する式がいくつか提案されてます。
靭性値が、破壊靭性値に達すとき裂が進展します。
靭性材料と延性材料の破壊靭性の特徴をあたってみるといいと思います。
○設計時には、き裂を想定した検討に多く用いられます。むしろ、設計より事故解析の方が多いかもしれません。

静的な場合でも、き裂先端は特異性があるので、K値やJ値などの破壊力学パラメータを用いて評価を行うことになります。

お礼

2005/04/19 00:31

有難うございます。
皆様の詳しいご説明で良く理解することができました。

質問者

お礼をおくりました

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