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疲労寿命と残留応力の効果
2023/10/16 19:24
- 疲労試験における残留応力の影響について検証します。
- 片持ち梁の例を用いて、圧縮残留応力と繰り返し応力の関係を調査します。
- 質問の答えは、残留応力以下の引っ張り応力では破損しないという定理が成立する場合があることを示しています。
疲労寿命における残留応力の効果
2009/10/11 15:41
繰り返し荷重による疲労試験の場合。表面に圧縮の残留応力が掛っている部材は、その残留応力以下の引っ張り応力では破損しない。
と考えてよいでしょうか?
例:片持ち梁の部材の表面(梁長手方向)に400MPaの圧縮残留応力が掛っている場合。梁の根元にかかる繰り返し応力が400MPa以下であれば、計算上無負荷のため絶対に梁は疲労破壊しない。
この考えは正しいでしょうか?
勿論内部や表面に欠陥は無い事を前提にした考えです。
最近同じような質問ばかりさせ頂いておりますが、どうにもスッキリせずどの質問も閉じられない状態です。
よろしくお願いいたします。
回答 (7件中 1~5件目)
初めて書き込むものです。
過去に圧縮残留応力が存在する状態で疲労試験を実施し、疲労き裂が発生するのを経験したことがあるので、私なりの技術的解釈を言わせてください。
まず、疲労現象は圧縮応力or引張応力の両方で発生します。(圧縮応力と引張応力で疲労強度は等しくはないので)金属により引張応力に弱いとか、圧縮応力に弱いとかあると聞いたことがあります。
次に、圧縮残留応力下の繰返し付加時の応力-ひずみ挙動ですが、弾完全塑性を仮定した場合、シェイクダウンするので、応力範囲によりますが400MPaの圧縮残留応力の影響はかなり小さくなります。しかしながら、完全に影響がなくなるわけではなくて応力振幅のずれ、すなわち平均応力の形でいくらか影響してきます。完全両振りの疲労試験結果に平均応力を考慮する手法として、修正グッドマンというものがあります。
まとめると、圧縮残留応力の影響はかなり小さくなるが、シェイクダウン後の平均応力の形で現れ、疲労強度をわずかに低下させる可能性がある。
というのが私なりの技術的解釈です。いろいろなご意見があると思いますので補足や修正をいただけると幸いです。
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この質問は投稿から一年以上経過しています。
解決しない場合、新しい質問の投稿をおすすめします。
ショットピーニングは、表面付近が加工硬化によって硬度が増し、強度が増し
ます。そして、曲げ応力の最大値は表面部分なので、曲げ応力値が上がった事
になり、それに伴い疲労限界値等も上がる内容は、今回の質問内容との接点が
薄いと考えますが、“1Nの涙”先輩、如何でしょうか?
興味を持って拝見しておりました。以前から、ショットピーニングをした材料
は疲労強度が増すというのは周知の事実です。そうなると、疲労限界が計算上
より低くなった今回の事例は、これだけでは説明がつかないような気がするね
参考URLはショットピーニングの残留応力のグラフが載っているので何かの
手助けになればと思い書いた。或は、このメーカーに直接聞いてみますか?
いずれにせよ 専門家の意見を、聞いてみたいものですね
たしか、前回の質問が切削による残留圧縮応力により疲労限度が計算よりも
かなり下回った応力値で回転曲げにおける疲労破壊が生じたと記憶していた
ので前回同様、残留圧縮応力の影響は低く思えるので鍛造材自体が疑わしい
のでは?と本当の所は、言いたかったのです(後の先アフターユーさんへ)
Question1
繰り返し荷重による疲労試験の場合、表面に圧縮残留応力がある部材は、その
残留応力以下の引張応力では破損しないと考えてよいでしょうか?
Answer1
引張応力を+で、圧縮応力を-で表示すると、梁の根元にかかる曲げ応力の
引張り側繰り返し応力が400MPaであれば、圧縮残留応力-400MPa + 引張り
の繰り返し応力+400~0MPaなので、計算は(-400MPa+400MPa)~(-400MPa
+0MPa)となり、結果が0~-400MPaの繰り返し荷重となるので、疲労の考慮
は必要でしょうが単純な一般的考察です。が、これは単純に圧縮残留応力部
の周りの残留応力が無い部分が、+400MPaの応力で伸びたから圧縮残留応力
部の縮み代が無くなり圧縮応力0MPaとなった事ではなく、圧縮残留応力部の
周りの残留応力が無い部分は存在しなく、圧縮残留応力部の周囲は圧縮残留
応力部エネルギーと同じ引張応力が存在していないと、圧縮残留応力は伸び
て無くなります。例えば、圧縮バネを鉄製円筒箱にセットすると、円筒の板
には引張応力が働いて圧縮バネを保持します。砂で固めた円筒では、壊れて
しまうからです。
そして、圧縮残留応力部の周囲の引張応力部は、同じ引張応力が以上が働く
まで引張り方向へは伸びが生じないので、圧縮残留応力部はそのままの状態
で存在します。が、ここも単純ではなく、圧縮残留応力部の直近周囲は伸び
代が大きいが、離れれば離れる程伸びが小さくなり、それが曲げ応力の引張
荷重方向なら伸びが小さい引張応力で生じる事になり、圧縮残留応力部が
それに応じて膨張します。すると、圧縮残留応力部の直近周囲の伸びは増加
します。等々なので、疲労を考慮すべきと考えます。
梁の根元にかかる曲げ応力の圧縮側繰り返し応力が400MPaであれば……も、
引張り側繰り返し応力と同じ事が考察できます。結果も同じです。
また、他の回答者さんも記載している、梁の根元にかかる曲げ応力の引張り
側や圧縮側応力の以外の2方向荷重に伴う応力(せん断応力等)は、
あまり考慮しなくて良いと考えます。その理由は、許容応力値を決定する際
の安全率等で考慮済みと考えて良いからです。機械工学や機械設計の専門書
(便覧)に記述しています“組み合わせ応力”を確認するとその値が何%増
かが判り納得します。
判り難ければ、マンガ絵を描きながら、2度3度読んでみて下さい。
>繰り返し荷重による疲労試験の場合。表面に圧縮の残留応力が掛っている
部材は、その残留応力以下の引っ張り応力では破損しない。と考えてよいで
し
ょうか?
純粋な一軸応力で考えれば,0~残留応力以下の引張応力を繰り返して加えた
場合,残留応力がキャンセルされてそのレベルを越えないので疲労しないこ
とになります。しかし,実際の応力は3軸応力であり,荷重方向以外の方向
で引張も作用します。つまり,合成応力により発生する特定のすべり面で
せん断破壊したりすることもあり得ます。
>例:片持ち梁の部材の表面(梁長手方向)に400MPaの圧縮残留応力が掛っ
ている場合。梁の根元にかかる繰り返し応力が400MPa以下であれば、計算上
無負荷のため絶対に梁は疲労破壊しない。
凸方向のはりの曲げの場合はり中心線から上と下で応力の方向が異なるた
め,下側では圧縮応力が重畳することになるため,残留応力の範囲を越え
ます。したがって疲労の可能性も生じます。
疲労破壊は応力振幅で発生するので,基本は圧縮でも引張でも同じです。
ただし,圧縮方向の疲労限度は引張方向に比べ5~6割程度大きくなるよう
です。またSN曲線は破壊平均値を基準としています。疲労試験での計測値
は平均値に対し10~20%程度のばらつきが生じます。僅かなデータで
強度の比較をするのは適切ではありません。